昔語り-第5幕 傷心を抱いて

幸福論にjoinしたと知ると、/whoをした元クラン員から
「なんでまた、BS系なんだ。グロぐらいにしておけばよかったのに」と
wisが来たりしました。
でも、グロじゃだめなんです。
だってあそこは、Lumiと同盟じゃないですか。


最初はとても怖かった。
知り合いがもし、いなかったら、多分絶対入ってないでしょう。
強大で戦争狂がいっぱいで、みんな高LVで
飢えた狼のようなクラン、それがBS系の外から見たイメージでした。
ゴミのような扱いをされても仕方が無い
茄子を裏切って、強大なクランに寝返った卑怯者と、思われてやしないか
スパイと思われてるんじゃないだろうか
きっと誰も口をきいてくれないかもしれない。
そんな不安が渦巻いていました。
まだ、茄子を思う気持も未練も、たっぷりとあって
それを思うと、また涙が込み上げてきました。
あんなことさえ無ければ、彼女さえいなければ
私はまだ、茄子にいたのに・・・。
でももう、戻れない、戻らない。


joinをして数日後に、起死回生を賭けたBSのアデン攻めが企画されていました。
Luminasも、万全の体制で迎え撃つはず
ここで勝たなければ、またずるずると負けを喫することになるかもしれない。
満を持して迎えたアデン攻めは、BSにとっても重大な転機でした。
戦いの終盤、奇跡のようなれつがのクラウンゲットで
BSは勝利を歓喜する声で沸き返りました。
ただひとり、私だけを除いて。
みんなが歓喜する中、私は疎外感を感じていました。
同じ喜びを分かち合えない寂しさ。
私ひとりが異邦人でした。



アデン城の倉庫で、ぽつんと立っていると
幸福論のクラン員がやって来ました。
挨拶をすると、彼女は突然こういいました。
「あなたのこと知ってるよ。毎回茄子で、がんばって戦争してたよね」
「あんなに頑張ってる人がいるクランだから、きっといいクランなんだろうなって、思ってたんだ」
今まで私、何を見てたんだろう。
自分で作り上げたまぼろし?
みんなとても、優しかった。
ただの一度も、悪口も意地悪もなかった。
みんな優しくて、口から出るのは、いつもほめ言葉で。
硬く縮こまって、心の片隅にひざを抱えて蹲っていた傷ついた心に
ぽっと暖かい火が灯りました。