昔語り-第6幕 仲間と信頼

Luminasは指輪を引きいれながらも
BSに大敗したことが起因となったのか
内部での離反などがあって発言力を弱め
ついには、戦争への不参加を表明するようになってしまった。
変わって勢力を指導する核となったのは
たー坊率いる茄子だった。
彼らは、「名を捨てて実を取る」というのを
本当に実現してしまった。


その頃、幸福内では、もう卑屈になる事も無くなってはいたが
いまだ、戦争の給料便箋を全部捨てている私がいた。
お金のために転身したと思われたくない。
人がしたがらない事は、率先してやった。
頼まれた事は無かったけど。
門番や、アデン開戦の1時間も前に
誰にも言わずに、そっとアデナラインを引いていると
同じようにアデナラインを引きに来たれつがに会ったりした。


初めて、BSでの戦争の時に、上位チャットに入れられた時は
何かの間違いだと思った。
何かしゃべったら間違いに気づいて、
「ああ、ごめん、間違えて入れちゃった」と言われて抜かれるんだろうな。
だって、私が上位に入る意味がわからないもの。
だけど、次も、その次も、上位に入れられた。
訳がわからなかった。
なぜ入れるんですかとも聞けずに戸惑っていたら
幹部のクラン員がこっそり教えてくれた。
「れつががね、オゥーエンに押したらしいよ。うちにすごくいいクラン員が入った、頑張ってるからよろしく頼むって」
ああ、そうなんだ。
そんなこと、れつがは一言も私には言わないのに
そんな風に黙って、あなたはたくさんの物を私にくれるんだ。
押し付けがましいことは何一つ言わず、そっと後ろから見守って。
なんて人なんだろう。
なんてたくさんの物を、私は今手にしているんだろう。
優しく暖かく信頼できる仲間、見守り支えてくれるプリ
信頼で結ばれたクラン、ああ、ここに来て本当に良かった。
とっても幸福論に来ることが出来て
本当に良かった。
ずっと悲しくて、血を流していた心の傷が
ふと、もう痛まないのに気がついた。